管理指導センター

概要

富山県内には、幹線水路6,100km、ダム9箇所、頭首工46箇所、ため池2,455箇所など基幹・幹線施設だけでも再建設費で9,300億円(H19時点)にのぼる農業水利資産ストックがあります。

富山県土地改良管理指導センターでは、これらの施設を含む富山県内の水利施設にかかる①土地改良施設の診断・管理指導業務、②土地改良事業に関する相談等の業務、③維持管理適正化事業に関する業務を行っています。

土地改良施設の診断・管理指導業務

土地改良施設の点検・整備・操作など、管理に関する専門技術的な診断・管理指導を行います。

(1)定期診断
富山県内の主要なダム、ため池、頭首工、揚水機場などの点的な農業水利施設について、定期的な診断サイクルを設定し、電気・水門・機械施設の点検を実施しています。

(2)要請診断
土地改良区等からの要請に基づいて土地改良施設の診断・管理指導を行っています。

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土地改良事業に関する相談等の業務

土地改良に関する以下の項目に関する相談への対応を行っています。

(1)土地改良事業に関する苦情紛争の調停,指導
(2)土地改良事業計画の作成,工事の実施に関する助言,指導
(3)土地改良事業主体の組織運営上の問題に関する助言,指導
(4)土地改良施設の機能,検査等維持管理に関する助言,指導
(5)農業水利に関する調停及び指導
(6)土地改良法令に関する指導
(7)換地処分その他農用地集団化に関する助言

維持管理適正化事業に関する業務

維持管理適正化事業に係る事業主体(土地改良区)への工事指導や設計内容の審査等を行っています。

整備補修事業

整備補修事業は、土地改良施設の機能低下の防止や機能回復のため、定期的に行うポンプの オーバーホール、ゲートの点検整備・塗装、用排水路の補修などの整備補修に対して助成する事業です。
適正化事業は、整備補修に必要な資金(拠出金)を5年間均等に積み立て、積立期間中(5年間)の定めた年度に対策工事を行います。
加入事業費は200万円以上としています。

資金は、加入事業費の国30%、県30%、地元30%の負担割合として5年間積み立て、残りの10%は自己資金となります。
(工事の実施年度に加入事業費の90%が事業主体(土地改良区)に交付されます。残りの10%は、事業主体(土地改良区等)が調達することになりますが、㈱日本政策金融公庫の農業基盤整備資金の融資を受けることができます。)

■資金の流れ

 

 

●対象施設

団体営規模以上の土地改良事業により造成された農業水利施設(ダム、頭首工、揚水機場、樋(水)門、ため池、水路等)です。
「整備補修事業」に加入するには、当該施設について、当会管理指導センターにおいて実施している施設診断・管理指導により施設の劣化や不具合の状況を調査し、その後、富山県、国の審査を受ける必要があります。

 

●主な整備補修内容

■整備補修

区   分 内     容

揚水機場

①揚水機の分解、補修
②原動機の分解、補修
③電気系統の補修(制御装置を含む)。
④その他(除塵装置の塗装、補修及び観測、通信通報用施設、地盤沈下等による基礎、建屋、フェンス等の補修)

ダム、頭首工及び樋水門

①門扉、開閉装置の塗装、補修
②門扉のワイヤーロープ、水密ゴム等の交換
③電気系統の補修
④観測、通信通報用施設の補修
⑤その他(除塵装置、インクライン、キャットウォーク等の塗装、補修及び防塵ネット、エプロン、水叩部、護岸、操作室の建屋、フェンス等の補修)

ため池

①取水ゲート、土砂吐ゲート、開閉装置等の塗装、補修
②堤体の補修、堆積土砂の浚渫
③電気系統の補修
④その他(観測、通信通報用施設、防塵ネット、操作室の建屋及びフェンス等の補修) 

用排水路

①護岸、床張、分水工、落差工等の塗装、補修
②1路線の一部につき、土水路をコンクリート水路、柵渠等にする改修
③浚渫であって、数年間隔で堆積土砂の除去を機械力で行うもの
④その他(除塵装置、フェンス等の塗装、補修)
⑤管水路の破損部分の交換、補修、塗装、ジョイントの補修等 

畑かん施設

①揚水機、空気圧縮機、撒水制御装置等の機器類及び電気系統の補修
②送水管、給水栓、電磁弁の補修、更新

 

■設備改善

区   分 内     容

観測用及び通信通報用設備

①テレコン、テレメーター、水位計、流量計等の観測、自動制御機器類の新設、増設、更新
②無線電話等通信施設(基地局、移動局)及び警報施設の新設、増設、更新

流木処理用設備等

①自動巻上除塵機、バースクリーン等の流木処理施設の新設、増設、更新
②防塵ネットの新設、増設、更新
③頭首工、揚水機場、ダム、ため池、水路のフェンスの新設、増設、更新

 

実施事例

■水門設備
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■水路(目地補修)
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施設改善対策事業

施設改善対策事業は事業期間が3年で高収益作物の導入推進に資するための施設の整備補修を行います。
なお「施設改善対策事業」への加入に当たっては土地改良施設改善計画を作成し、事前に富山県知事の承認を得ることが必要です。

揚水機場 ポンプ設備のオーバーホール、インバータ化等の整備補修
水路 水路の浚渫、漏水防止、部分的なパイプライン化等の整備補修
分水施設、合流施設及び調整施設の自動化・電動化等の整備補修
水管理制御設備 水管理制御設備の高度化等の整備補修

 

安全管理施設整備対策事業

安全管理施設整備対策事業は事業期間が3年で農業用用排水施設への転落事故を防止するための安全管理施設(フェンス等)を計画的に整備します。
なお「安全管理施設整備対策事業」への加入当たっては安全管理施設整備改善計画を作成し、事前に富山県知事の承認を得ることが必要です。(事業費は100万円以上です。)

① 開水路及び水路諸施設周辺への立入り並びに危険区域への立入りを防止するためのフェンス、ハンドレール、通行止門扉等の整備補修
② 車両等の転落防止のための防護柵、フェンス、ハンドレール等の整備補修
③ 農業水利施設への転落事故の防止を図るための蓋の整備補修
④ その他農業水利施設への転落事故の防止を図るための安全管理施設の整備補修

防災減災機能等強化対策事業

令和4年度から拡充された防災減災機能等強化対策事業は、農村地域の防災・減災、施設管理の省エネルギー化、再生可能エネルギー利用及び省力化のための施設整備を行う事業です。
資金は、富山県の場合の国50%、県30%、地元20%の負担割合として5年間積み立てとなるが、財政融資制度を活用し実施年度に加入事業費の100%が交付され、工事は早期に実施することができます。
1 農村地域の防災・減災
(1)防災重点農業用ため池、治水協定ダム及び農地防災ダムの施設整備
① 堤体の補強、護岸の改修
② 洪水吐、取水施設、放流施設の改修又は更新
③ 堆積土砂の除去、堆積防止対策
④ 監視・制御機器の整備
(2)排水施設
① 排水機場のポンプ、原動機等の部品・機器の交換又は更新
② 排水路、水門の改修又は更新
③ 堆積土砂の除去、堆積防止対策
④ 監視・制御機器の整備
(3)用水施設
① 取水施設の豪雨対策(堆積土砂の除去、堆積防止対策、取水施設の整備)
② 用水路、水門の豪雨対策(豪雨による土砂崩壊等による機能低下防止対策)
③ 監視・制御機器の整備(非常用電源・警報設備の整備、浸水・被雷対策)
2 施設管理の省エネ化・再エネ利用
(1)用排水機場のエネルギー効率を高めるためのポンプ、原動機等の部品・機器の交換又は更新
(2)小水力、太陽光等の再生可能エネルギーによる発電・充電・給電設備の整備
3 施設管理の省力化
施設の遠隔監視・制御のためのICT機器や水管理システムの整備、操作・運転の自動化・電動化設備の整備