沿革・目的

○沿革

 大正10年、耕地整理や用排水改良などの事業を実施する際に指導を行うための組織として本会の前身となる富山県耕地協会が設立されました。その後、土地改良事業が飛躍的に進み、昭和28年に名称を富山県土地改良協会と改めて組織を充実しました。さらに、昭和32年に土地改良法の改正が行われ、土地改良事業団体連合会が法制化されたことに伴って昭和33年に富山県土地改良事業団体連合会を設立し、現在に至っています。

○目的

 本会は、土地改良事業を行う土地改良区、同連合、市町村を会員とする法人(土地改良法に定めた公法人)であり、土地改良事業の円滑かつ効率的な運営を確保し、その共同の利益を増進するとともに、国・県の事業に対する協力を目的としています。 

○設立年月日

 昭和33年12月20日設立認可(農林省指令33農地第4788号)

 昭和33年12月24日登記

○会員

 会員は、富山県内で土地改良事業を行う市町村、土地改良区、土地改良区連合です。 

管内別会員数一覧表(令和5年11月1日現在)

管内区分

市町村

土地改良区

土地改良区連合

新川

12

18

富山

34

39

高岡

10

14

砺波

10

15

63

81

 

新川管内(13団体)

愛本新用水土地改良区

四千石用水土地改良区

黒部川沿岸土地改良区連合

入善土地改良区

朝日町土地改良区

黒部川左岸土地改良区

魚津市土地改良区

室山野用水土地改良区

早月川沿岸土地改良区

滑川南部土地改良区

滑川東部土地改良区

郷川土地改良区

滑川中部土地改良区

 

富山管内(35団体)

常東用水土地改良区

舟橋村土地改良区

上市川沿岸土地改良区

常願寺川沿岸用水土地改良区連合

上市町土地改良区

立山町土地改良区

富山市蜷川土地改良区

常西用水土地改良区

広田用水土地改良区

熊野土地改良区

新保用水土地改良区

牛ヶ首用水土地改良区

古沢用水土地改良区

下条用水土地改良区

水橋三郷土地改良区

上条用水土地改良区

富山市月岡土地改良区

呉羽射水山ろく用水土地改良区

船峅土地改良区

大久保用水土地改良区

大沢野土地改良区

大庄土地改良区

福沢土地改良区

文珠寺土地改良区

布尻土地改良区

上野用水土地改良区

町長土地改良区

外輪野用水土地改良区

婦負郡藤ヶ池土地改良区

婦中土地改良区

杉原土地改良区

山田村土地改良区

久婦須川土地改良区

朝日土地改良区

井田川水系土地改良区

 

高岡管内(10団体)

金山土地改良区

黒河土地改良区

射水平野土地改良区

大門町土地改良区

高岡市土地改良区

福岡町土地改良区

氷見市柳田土地改良区

西条畑地かんがい土地改良区

氷見市土地改良区

小矢部市土地改良区

 

砺波管内(8団体)

鷹栖口用水土地改良区

庄川沿岸用水土地改良区連合

庄西用水土地改良区

庄東用水土地改良区

砺波市土地改良区

庄川上流用水土地改良区

小矢部川上流用水土地改良区

南砺市土地改良区

 

○性格

 法に「連合会は、法人とする」(土地改良法第111条の3)と規定されています。連合会の目的・事業内容が公益的色彩を強く有していることから、その法的な性格は土地改良法の定めるところにより設立が認めた「公法人」で、その組織形態等から社団法人として位置付けられています(土地改良法第111条の4)。また、税法上(法人税法、所得税法、印紙税法)からも、営利を目的としない公益法人等に位置付けられています。

○役割
 本会は昭和33年に土地改良事業の実施主体の共同組織として設立して以来、約半世紀にわたり土地改良事業の推進・情報提供や会員への技術支援を行い,農業と地域社会の維持、発展に重要な役割を果たしています。
 また、近年は多くの資源と効用を有する農村と土地改良施設がその役割を十分に発揮できるよう環境への配慮、循環型社会の創造、再生可能エネルギー利用の促進など総合的かつ多様な視点で業務を進めています。
 このためには農村と土地改良施設をより健全な形で維持し管理することが不可欠です。特に、土地改良施設の管理については、施設の高度化、農村地域の都市化・混住化の進展、農業者の高齢化などに伴い、その管理が複雑化、高度化していることから、管理主体である土地改良区や市町村から、本会に対して支援を強く求められています。
 このことから、職員が自らスキルアップに努めるよう積極的に取り組んでいるところです。
 本会では、国の新たな施策である水資源、農地資源、有機性資源、環境資源の4つの資源活用に向け、①地域性②機動性③専門性④総合性の4つの視点から均衡ある農業農村の振興に向けた検討と取り組みを総体的に進めることを目指しています。
(1) 地域性: 会員や地域関係者等からの多様な生の声に接していることから、地域が有する様々な特徴と個性を重視した取り組みが可能です。また、今後の新たな各種活動において地域の代弁者として、行政への働きかけが可能です。
(2) 機動性: 国・県・市町村等の行政機関との連携により会員や地域の様々な課題に対して効率的かつ効果的な取り組みが可能です。
また、緊急時に即した災害復旧応援や会員・地域との即応性のある取り組みが可能です。
(3) 専門性: 土地改良技術の係る技術の専門組織として、永年にわたる実績と普遍的に構築した記録、データベースに基づき、新たな事業の推進において、調査・計画・設計施工管理・事務支援などに至るまでの一連の事務が可能です。また、土地改良施設の造成、改修、維持管理や土地改良区経営の指導を会本来の業務としています。
(4)  総合性:  公法人であることから公的な役割が多いため、会員や地域に関係する諸団体との連携による総合的な活動が展開できます。また、全国組織と地方組織が一体となって、国や地方の政策に対する要請などの活動を効率的に展開することが可能です。
○本会の事業

本会の事業は、定款第4条に次のとおり定めています。

会員の行う土地改良事業(土地改良事業に付帯する事業を含む。以下同じ。)に関する技術的な指導その他の援助
会員から委託を受けて行う土地改良事業の工事
土地改良事業に関する教育及び情報の提供
土地改良事業に関する調査及び研究
国又は県の行う土地改良事業に対する協力
前各号に掲げる事業のほか,第1条の目的を達成するため必要な事業

 

○事業の概要

 土地改良事業は、安全・安心な食料の安定供給はもとより、豊かな自然環境や生物多様性の保全、農地の洪水防止効果などによる防災機能など、多面的な機能の発揮を通じて県土を保全し、県民の暮らしを支える重要な役割を果たしてきた。
しかしながら、多くの土地改良施設は基準となる耐用年数を超え、老朽化によりその機能が低下し営農などに支障が生じており、防災・減災上からも農業水利施設の整備が喫緊の課題となっている。令和6年1月1日に発生した能登半島地震においては、技術者不足の状況にあったこともあり、特に初動体制の整備の重要性が認識されることとなった。
一方では過疎化・高齢化に伴う担い手不足などによる農地の荒廃、地域活力の低下が進行する状況にあり、農業の競争力を強化するためには、農地集積や農業の高付加価値化などと併せて、大区画・汎用化に加えてICT・自動農機技術に対応した生産基盤の整備を進め、農業水利施設等の適切な維持・更新など地域の実情に応じたきめ細やかな対応が重要である。
さらに近年では、国際紛争などによる世界経済への大きな影響に対し、食料安全保障確立の立場から、我が国の食料生産を支えている農地・農業用水等の農業生産基盤を維持し、力強い農業の実現を通じた食料の安定供給や農業の多面的機能を発揮させるため、農地・農業用水等の地域資源を良好な状態で次世代に継承していく責務がある。
地域資源の管理を担ってきた土地改良区は引き続き、これまで培ってきた技術と経験など持てる能力を最大限に発揮するため、男女共同参画を推進しつつ、その運営体制の強化に取り組んでいく必要がある。
本会は、農業農村を巡る情勢が大きな転換期を迎える中で新たな課題に的確に対応するとともに、農地・土地改良施設の防災減災及び被災時の復旧について体制整備を図り、国・県並びに関係団体と密接な連携を図りながら会員の共同利益増進のため、定款の定めるところにより次の事業を行う。

1 土地改良事業に関する事務指導並びに技術指導援助
(1)土地改良区の運営、会計事務等の指導
(2)土地改良事業の調査、測量設計、事業計画書、実施設計書作成等の受託
(3)団体営地域用水環境整備事業(小水力発電整備)の実施設計及び諸手続等の受託
(4)換地計画・施行等の指導援助並びに換地業務の受託
(5)土地改良施設台帳作成業務の受託
(6)小水力発電所の保守管理業務の受託
(7)ため池サポートセンター業務の受託
(8)土地改良施設維持管理適正化事業の推進
(9)農業用水路事故防止対策の推進
(10)多面的機能支払交付金事業の推進
(11)水土里情報利活用の推進

2 土地改良区体制強化事業の推進
(1)施設・財務管理強化対策事業の推進(管理指導センター)
①土地改良施設の点検・整備・操作等の管理に関する専門的な診断、啓発資料作成、土地改良区役職員研修及び巡回指導等
②土地改良事業ならびに土地改良法改正に関する相談対応、啓発資料作成、役職員研修、専門家の派遣及び巡回指導等
(2)受益農地管理強化対策事業の推進(換地センター)
①換地技術者等に対する研修・地区指導等
②農地利用集積推進対策

3 農家負担金軽減支援対策事業の推進
 土地改良事業に係る農家負担金の軽減と計画的償還の一層の推進を図るため、土地改良区等を対象に農家負担金軽減支援対策事業(水田・畑作経営所得安定対策等支援事業)を実施します。

4 土地改良区事業実施体制の強化
 農業・農村の構造の変化や組合員のコスト意識の高まり等に対応し、賦課金負担や施設管理の適正化等の諸問題に対応できる土地改良区の組織運営基盤の強化を図るため、土地改良区自らが将来の在り方を検討するなどの地域の自助努力を促しつつ、関係団体等との連携を図りながら、合併済土地改良区も含めた組織点検や、統合整備、職員確保等による土地改良区の事業実施体制の強化を推進します。

5.農業用水小水力発電推進事業の推進
 農業用水を利用した小水力発電を推進するため、県内の新たな小水力発電の候補地について発電の事業化可能性について必要に応じて概略設計を行う。

6.農地・土地改良施設の防災・災害復旧に対応する体制強化の推進
 農地・土地改良施設等の防災・減災に向けた維持管理活動や災害発生時には地元市町村と連携した迅速かつ的確な災害復旧体制の整備について検討する。

7 土地改良事業に関する教育及び事業の推進
(1)各種講習会、研修会、講演会を開催し、土地改良関係者の技術向上と土地改良関係法令の普及を図ります。
(2)機関紙『水土里ネット富山だより』の発行
(3)土地改良関係資料、参考刊行物の配布、紹介、斡旋

8 土地改良事業に関する調査研究
(1)農政の転換にも的確に応えるための調査研究
(2)土地改良事業計画・実施・技術に係る調査研究
(3)国、県及び全国土地改良事業団体連合会より委託される事項の調査研究

9 その他定款第1条の目的達成に必要な事業
(1)農業基盤整備事業促進に関する以下についての意見具申、要請活動
・農業農村整備事業予算の確保
・農山漁村地域整備交付金予算の確保
・法改正対応に係る支援
・農業農村整備事業補助率の見直し
・土地改良区運営経費に対する支援
・土地改良施設管理に係る支援
・固定価格買取制度における価格の安定と継続
・発電関係の技術開発と事業の推進
・その他必要に応じて対応
(2)土地改良功労者の表彰及び推薦
(3)農業用施設賠償責任保険の加入の事務手続及び事故防止の啓発